ICPモデル


ICPモデル

 こどもの成長のパターンは、おおきく乳幼児期、前思春期、思春期の3つに分けられます(ICPモデル)。各時期において成長に大きく影響する重要な因子は、乳幼児期では栄養、前思春期では成長ホルモン、思春期では性ホルモンと考えられています。

ICPモデル

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乳幼児期(0歳~3歳頃)

 乳幼児期は生まれてから3歳頃までの体が急速に大きくなる時期です。約50cmで生まれてくる赤ちゃんは1歳時までに約25cm伸びて約75cmになります。人の一生で最も成長速度が速い時期のため、栄養が重要であると考えられています。


前思春期(3歳~男子10歳頃、女子9歳頃)

 前思春期は3歳頃から思春期が始まる前までの時期です。男女ともほぼ一定の成長をする時期で、3歳頃は年間約7cm伸び、思春期が始まる頃には年間約5cmの伸びになります。前思春期は、成長ホルモンの分泌量が多い子どもほど背が高く、少ない子どもほど背が低くなる傾向があるため、前思春期の成長には、成長ホルモンが重要であると考えられています。


思春期(男子11歳頃~男子16歳頃、女子10歳頃~女子14歳頃)

 思春期は急速な伸びの後に成長が停止する時期です。男子は11歳6ヶ月頃から思春期が始まり13歳頃に成長率のピークを迎え年間約10cm伸び、女子は10歳頃から思春期が始まり11歳頃に成長率のピークを迎え年間約 8cm伸びます。その後、男女とも伸びは穏やかになり、最終的に伸びは止まり、成人身長に達します。


 思春期の開始は、男子では精巣の大きさが4mlになったとき、女子では乳房が少し脹らんできたときです。陰毛が生えるのは成長率のピークを迎える頃、男子の声変わり、女子の初潮は、思春期の終わりです。

 思春期の成長は性ホルモンの働きによるものです。思春期の前半は少量のエストロゲンが間接的に骨の成長を促進し、思春期の後半は大量のエストロゲンが成長板に直接作用して骨を成熟させます。


成長曲線

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思春期と時計遺伝子


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 思春期に入ると、ホルモンの影響で就寝時間と起床時間が遅くなります。この体内時計の遅れは約2時間であり、これは女子では19.5歳まで、男子では21歳まで続きます。





参考文献


ICPモデル
カールバーグ『ICPモデルPubMed
田中敏章『乳幼児期、前思春期、思春期』たなか成長クリニック 2007
田中敏章『こどもの身長を伸ばす本』講談社 2011
田中敏章,冨部志保子『子どもの身長を伸ばすヒント』朝日新聞出版 2013


思春期と時計遺伝子
東京学芸大学就寝・起床の平均時刻と睡眠の平均時間
ラッセル・フォスター『思春期に入ると体内時計が約2時間遅れる
ラッセル・フォスター『Why teenagers really do need an extra hour in bed』New Scientist 2013