健常小児の0歳から17歳までの身長SDスコアの変化


田中敏章(たなか成長クリニック)


要旨


 秋田県の健常小児2731名(男子1366名、女子1365名)の出生時から17歳までの縦断的成長記録を解析して、こどもの身長の程度(身長SDスコア)がどのように変化するのかを検討した。0歳から3歳、3歳から6歳、6歳から17歳までの変化を検討したが、それぞれICP(Infant-Childhood-Puberty)モデルの乳幼児期、前思春期、思春期に相当すると考えられる。

 身長SDスコアが出生時から17歳時まで同じ程度で成長する小児は、全体の12.2%で、多くの小児は身長SDスコアが変化した。変化する時期は、0歳から3歳までの乳幼児期に相当する時期に一番大きく、30.6%の小児が0.5SD以上大きくなり、35.6%が0.5SD以上小さくなった。次いで思春期に相当する6歳から17歳の変化が大きく、23.9%の小児が0.5SD以上大きくなり、22.5%が0.5SD以上小さくなった。前思春期に相当する3歳から6歳までは、あまり変化が見られなかった。身長SDスコアがほとんど変化しない±0.5SD以内の小児の割合は、0歳から3歳、3歳から6歳、6歳から17歳までの時期で、それぞれ35.8%、70.5%、53.6%であった。

 身長SDスコアが変化する方向は、身長SDスコアが大きい子は低下する方向、小さな子は上昇する方向で、その変化の大きさも0歳から3歳までが、次いで、6歳から17歳までで、3歳から6歳までは一番少なかった。6歳から17歳までにおける変化は、思春期が早いほど身長SDスコアが低下する方向、遅いほど身長SDスコアが上昇する方向に変化した。

 17歳時身長SDスコアは、6歳時身長SDスコアと最も強い正の相関を示したが、3歳時身長SDスコアにもすでに強い相関を示しており、乳幼児期の成長が成人身長に重要であることを示唆している。



田中敏章『学術活動 17』たなか成長クリニック