身長を伸ばす方法 ― 東京大学の研究成果から分かった本当の身長の伸ばし方


身長を伸ばす方法

東京大学、オックスフォード大学、ハーバード大学の最新研究成果に基づく本当の身長の伸ばし方


はじめに

身長が伸びるメカニズム

 骨が伸びると身長が伸びます。骨を伸ばすのは軟骨細胞と肥大軟骨細胞です。軟骨細胞が増殖して肥大化すると骨が伸びるのです。この軟骨細胞の増殖を促すのは成長ホルモンです。成長ホルモンはIGF-1を介して軟骨細胞の増殖を促します。

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身長と睡眠

身長は眠っているときに伸びる


BBC NEWS | Health | 骨は夜に成長するBBC NEWS | Health | 骨は夜に成長する

 骨は眠っているときに伸びます。深い眠りのときにたくさん分泌される成長ホルモンが、骨の成長を促します。

成長ホルモンの分泌量
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就寝時間が早いか遅いかより、決まった時間に寝ることが大切

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何時に寝ても深い眠りの状態になれば成長ホルモンは分泌される
成長ホルモンは深睡眠中に分泌されるもの - archive

11時や11時30分に寝ても、深い眠りの状態になれば成長ホルモンは分泌されます。

子どもを毎晩同じ時間に寝かせると、脳の能力が向上する
子どもの就寝時間で重要なのは規則正しさ=米研究 - WSJ.com

就寝時間が早いか遅いかは重要ではなく、決まった時間に寝ること大切です。

どれくらい眠ればいいの?

奨励睡眠時間

1~3歳 12~14時間
3~5歳 11~13時間
5~12歳 10~11時間
ハーバード公衆衛生大学院

脳の発達には長い睡眠が必要です。



オックスフォード大学のラッセル・フォスター教授

  • 10歳までの子どもは9時間から9時間半の睡眠を取ることが望ましい。新しいことをひらめいたり複雑な問題を解決したりするには、十分な睡眠が不可欠です。*1


10歳までは、少なくても9時間、眠るのが望ましいようです。


中学生以上は7時間以上寝るのがベスト

 

たなか成長クリニッック院長 田中敏章 東京大学医学部卒

  • 中学生以上で7時間以上寝ていて規則正しい普通の生活をしていれば、睡眠の量が成長率に影響を及ぼすことはないと思われます。*2


ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの睡眠時間と認知機能に関する研究

  • 35歳から55歳の男女5431人に対して、記憶力、語彙力、推論能力に関するテストを行ったところ、7時間睡眠を行う人が最も成績がよく、6時間睡眠を行う人がその次に成績がよかった。*3






身長と栄養

美味しいものを食べると身長が伸びる

 IGF-1は成長ホルモンと栄養状態に大きな影響を受ける成長因子です。IGF-1の分泌量は、成長ホルモンや良好な栄養状態に応答して増加します*4。美味しいものを食べると、IGF-1の血中濃度が上がるため、軟骨細胞の増殖が亢進します。


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田中敏章『こどもの身長を伸ばす本』講談社 2011 P127より
 

  • 肥満のこどもは一般的には成長ホルモンの分泌が悪いのにIGF-1が正常か高く、身長がよく伸びます。神経性食欲不振症のこどもは成長ホルモンの分泌が多いにもかかわらず、IGF-1は低値を示し、成長は阻害されます。

  • 成人でも飢餓状態になるとIGF-1が低下し、その回復にはタンパク質とカロリーが重要だと報告されています。


 タンパク質とカロリーです。タンパク質とカロリーをしっかり摂ると、IGF-1の血中濃度が上がり、骨がグングン伸びていきます。


美味しいもの


ビーフシチュー
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ビーフストロガノフ
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クリームパスタ
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美味しいものを食べると身長が伸びる!

 カレー、キーマカレー、ハンバーグ、ビーフシチュー、ビーフストロガノフ、リブステーキ、カルボナーラペスカトーレゴルゴンゾーラパスタ、八宝菜、福建炒飯、四川麻婆豆腐、青椒肉絲、小籠包、エビチリ、エビマヨ、アイスバインシュラスコラタトゥイユ、...etc







身長と運動

運動すると身長が伸びる

 運動は食欲を増進させ、熟睡をもたらすので、身長を伸びやすくします。*5


体操をすると身長が伸びにくくなることがある

 体操をすると身長が伸びにくくなることがあります。原因は消費エネルギーの増大にともなう栄養摂取量の不足です。*6


体重が減らないくらい栄養をとることが大切

 運動は身長を伸びやすくしますが、体重が減るくらいの運動と食生活を続けると身長が伸びにくくなることがあるので、運動をする場合は体重が減らないくらい栄養を摂取しましょう。









まとめ

身長を伸ばす方法は

1. 美味しいものを食べて

2. ぐっすり眠り

3. 運動する場合は、体重が減らないくらい栄養を摂る


この3つ意識した生活を送り、
身長を伸ばしていきましょう。







参考文献

*1:脳の発達には9時間睡眠が必要との研究結果』RocketNews24 2011

*2:田中敏章『こどもの身長を伸ばす本』講談社 2011 P132

*3:7時間睡眠が最強説!過不足で最大7歳も脳が老化する可能性も』RocketNews24

*4:福嶋俊明『インスリン様成長因子東京大学大学院農学生命科学研究科

*5:野瀬宰『身長を伸ばす』野瀬クリニック

*6:Suzanne Allen『Are There Exercises that Stunt Children's Growth?』 2014

成長曲線を使って着実に身長を伸ばしていこう


成長曲線

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成長曲線とは?

 成長曲線とは、ある決められた年度に、男女別にたくさんの子どもたちの身長データを集計し、年齢別に身長や体重の平均値を曲線でつないだグラフです。


成長曲線の使い方

 成長曲線を使って、成長が急に鈍くなる、あるいは急に伸びるなどの変化を見ます。乳幼児期、前思春期、思春期(ICPモデル)の各時期に、成長曲線が妙な動きを見せるときは、骨の成長を損なう何らかの障害が働いている証拠です。

ICPモデル

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成長曲線を使って着実に身長を伸ばしていこう

乳幼児期(0歳~3歳頃)

 乳幼児期は生まれてから3歳頃までの体が急速に大きくなる時期です。この時期の成長率が低下する主な原因は栄養摂取量の不足であり、ホルモンの分泌に異常がない場合が多いです。成長率を向上させるために、乳児期はアラキドン酸とDHA入りの粉ミルクを飲ませて、7~8ヶ月以降は、必須アミノ酸、アラキドン酸、亜鉛を豊富に含む肉や固ゆで卵黄などの食べ物を食べさせるようにしましょう。


前思春期(3歳~男子10歳頃、女子9歳頃)

 この時期は、男女ともほぼ一定の成長をする時期です。この時期に成長率の大きな変動が見られた場合、脳腫瘍による成長ホルモン分泌不全性低身長症、後天性甲状腺機能低下症、思春期早発症などの病気である可能性があるので、専門医を受診してください。


思春期(男子11歳頃~男子16歳頃、女子10歳頃~女子14歳頃)

 思春期は急速な伸びの後に成長が停止する時期です。この時期の成長率が低下する主な原因は激しい運動にともなう栄養摂取量の不足です。


運動と栄養と休養

 栄養も休養もとらずに、体重が減るくらいの激しい運動をやり続けると、身長が伸びにくくなります。激しい運動をしても、しっかり栄養と休養をとれば身長は伸びていきます。激しい運動をする場合は、しっかり栄養と休養をとり、身長・体重の成長率を低下させないようにしましょう。





参考文献


成長曲線
田中敏章『成長曲線』Nordicare
清水俊明『脳の発達を促す注目成分「アラキドン酸」』日経ウーマンオンライン 2013
細谷亮太『最新決定版 はじめての育児』学研マーケティング 2013


身長と運動
野瀬宰『適度な運動はいいが激しい運動は問題』野瀬クリニック
Suzanne Allen『Are There Exercises that Stunt Children's Growth?』 2014


ICPモデル


ICPモデル

 こどもの成長のパターンは、おおきく乳幼児期、前思春期、思春期の3つに分けられます(ICPモデル)。各時期において成長に大きく影響する重要な因子は、乳幼児期では栄養、前思春期では成長ホルモン、思春期では性ホルモンと考えられています。

ICPモデル

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乳幼児期(0歳~3歳頃)

 乳幼児期は生まれてから3歳頃までの体が急速に大きくなる時期です。約50cmで生まれてくる赤ちゃんは1歳時までに約25cm伸びて約75cmになります。人の一生で最も成長速度が速い時期のため、栄養が重要であると考えられています。


前思春期(3歳~男子10歳頃、女子9歳頃)

 前思春期は3歳頃から思春期が始まる前までの時期です。男女ともほぼ一定の成長をする時期で、3歳頃は年間約7cm伸び、思春期が始まる頃には年間約5cmの伸びになります。前思春期は、成長ホルモンの分泌量が多い子どもほど背が高く、少ない子どもほど背が低くなる傾向があるため、前思春期の成長には、成長ホルモンが重要であると考えられています。


思春期(男子11歳頃~男子16歳頃、女子10歳頃~女子14歳頃)

 思春期は急速な伸びの後に成長が停止する時期です。男子は11歳6ヶ月頃から思春期が始まり13歳頃に成長率のピークを迎え年間約10cm伸び、女子は10歳頃から思春期が始まり11歳頃に成長率のピークを迎え年間約 8cm伸びます。その後、男女とも伸びは穏やかになり、最終的に伸びは止まり、成人身長に達します。


 思春期の開始は、男子では精巣の大きさが4mlになったとき、女子では乳房が少し脹らんできたときです。陰毛が生えるのは成長率のピークを迎える頃、男子の声変わり、女子の初潮は、思春期の終わりです。

 思春期の成長は性ホルモンの働きによるものです。思春期の前半は少量のエストロゲンが間接的に骨の成長を促進し、思春期の後半は大量のエストロゲンが成長板に直接作用して骨を成熟させます。


成長曲線

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思春期と時計遺伝子


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 思春期に入ると、ホルモンの影響で就寝時間と起床時間が遅くなります。この体内時計の遅れは約2時間であり、これは女子では19.5歳まで、男子では21歳まで続きます。





参考文献


ICPモデル
カールバーグ『ICPモデルPubMed
田中敏章『乳幼児期、前思春期、思春期』たなか成長クリニック 2007
田中敏章『こどもの身長を伸ばす本』講談社 2011
田中敏章,冨部志保子『子どもの身長を伸ばすヒント』朝日新聞出版 2013


思春期と時計遺伝子
東京学芸大学就寝・起床の平均時刻と睡眠の平均時間
ラッセル・フォスター『思春期に入ると体内時計が約2時間遅れる
ラッセル・フォスター『Why teenagers really do need an extra hour in bed』New Scientist 2013



成長ホルモン


成長ホルモン

 成長ホルモンは192個のアミノ酸で構成されるタンパク質です。下垂体前葉のGH産生細胞で産生されます。成長ホルモンは睡眠、食事(絶食時や空腹時などの低血糖時)、運動時に分泌が亢進します。*1

成長ホルモンの働き

 成長ホルモンが肝臓や骨で代謝されるとIGF-1(インスリン様成長因子-1、別名ソマトメジンC)が産生されます。IGF-1は70個のアミノ酸で構成されるポリペプチドで、軟骨細胞の増殖を促す働きがあります。成長ホルモンの作用は、主にこの成長因子であるIGF-1を介して起こります。*2


骨が伸びるメカニズム
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睡眠と成長ホルモン

成長ホルモンは深い眠りの状態ときに分泌される

 成長ホルモンは午後10時から午前2時にかけて分泌されるものではありません。成長ホルモンは特定の時刻に分泌されるものではなく深睡眠時に分泌されるものです*3。何時に寝ても深い眠りの状態になれば成長ホルモンは分泌されます。


成長ホルモンの分泌量
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身長とサプリメントの関係

 

タンパク質の加水分解
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 成長ホルモンとIGF-1はポリペプチドであるため、経口摂取すると胃で加水分解され、小腸でアミノ酸として吸収されます。成長ホルモンとIGF-1を経口摂取しても、成長ホルモンとIGF-1の血中濃度は上がらないため、骨の成長が亢進することはないです。*4






参考文献

*1:生理学 VOL.10

*2:Wikipedia成長ホルモン

*3:田中敏章『こどもの身長を伸ばす本』講談社 2011

*4:日本内分泌学会『成長ホルモンの適正使用に関する見解』 2011

アルギニン


アルギニン

 アルギニンはクエン酸回路の中間体であるα-ケトグルタル酸からグルタミン酸を経て生合成される非必須アミノ酸です。アルギニンを経口摂取した場合、アルギニンは肝臓のオルニチン回路でアルギナーゼによりオルニチンと尿素加水分解されます。


オルニチン回路


 加水分解されずに血中に分泌されたいくらかのアルギニンが、成長ホルモンの分泌を促します。アルギニンは成長ホルモンの分泌を促しますが、骨の成長を促す働きはないです。



軟骨内骨化(軟骨細胞・破骨細胞・骨芽細胞の働き)


軟骨内骨化のメカニズム

 まず未分化の間葉系細胞が凝集します。中心部の間葉系細胞は軟骨細胞へ分化し、Ⅱ型コラーゲン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンを含む軟骨基質と呼ぶ細胞外マトリックスを形成しながら、増殖し骨を伸ばします。辺緑部の間葉系細胞は軟骨膜細胞へ分化し、軟骨膜を形成します。軟骨細胞と軟骨膜細胞は共役して骨の原型を形作ります。
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軟骨基質
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 増殖軟骨細胞は前肥大軟骨細胞を経て肥大軟骨細胞に分化します。増殖軟骨細胞はPTHrP(副甲状腺ホルモン関連ペプチド)を分泌し軟骨の肥大化を抑制し、前肥大軟骨細胞はIhh(インディアンヘッジホッグ)を分泌し増殖軟骨細胞の増殖を促進することで、骨の長さを制御しています*1

PTHrPとIhhによる負のフィードバックループ*2
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 軟骨細胞は肥大軟骨細胞に分化し、Ⅹ型コラーゲンを産生します。軟骨細胞と肥大軟骨細胞は基質小胞とコラーゲンを介して、縦方向の細胞間隔壁を暫定的に石灰化します*3*4

暫定的石灰化*5
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 基質小胞はALP (アルカリフォスターゼ)と呼ぶ酵素PPiピロリン酸)を加水分解します。PPi加水分解により生成した無機リン酸は、リン酸トランスポーターを通り基質小胞内に輸送され、カルシウムイオンはリン脂質と結合するアネキシンにより基質小胞内へ流入します*6。基質小胞内でカルシウムイオンと無機リン酸が濃縮され、リン酸カルシウムの結晶塊が形成されます*7

リン酸オクタカルシウム*8
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 基質小胞内で形成されたリン酸カルシウム結晶塊はリボン状または針状ですが、小胞の膜を破って外界に露出すると、球状の集合体(石灰化球)になります。石灰化球は、周囲のコラーゲン細線維に接触することでコラーゲン線維に石灰化を波及してゆきます*9

コラーゲン性石灰化*10
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 軟骨膜に存在する前骨芽細胞は、肥大軟骨細胞の分泌する種々の成長因子の刺激を受けて骨芽細胞に分化します。骨芽細胞はⅠ型コラーゲンやオステオカルシンを産生し、類骨と呼ぶ細胞外マトリックスを形成しながら、類骨に基質小胞を埋入してゆきます。骨芽細胞は基質小胞とI型コラーゲンを介してハイドロキシアパタイトを析出し類骨を石灰化してゆくことで、将来の皮質骨である骨殻を形成してゆきます。

膜内骨化*11
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 肥大軟骨細胞はMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)と呼ぶ酵素で軟骨基質を分解し、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)で骨の外から血管を招きます*12。血管新生にともない骨殻に存在する骨芽細胞、肝臓・脾臓に存在する破骨細胞前駆細胞などが石灰化軟骨基質に侵入します。

血管新生
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 破骨細胞前駆細胞は、骨芽細胞の分泌するM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)や、骨芽細胞の細胞膜上に発現するRANKL(破骨細胞分化因子)等の刺激を受けて融合し、多核の破骨細胞へ分化を遂げます。破骨細胞はMMPや塩酸で骨基質を分解し、髄腔を形成してゆきます。

破骨細胞
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 骨芽細胞は、石灰化した軟骨基質を足場にして骨基質を産生し、最終的に自らの分泌した骨基質に埋まり骨細胞に分化を遂げることで、骨の内側に海綿骨・骨梁を形成してゆきます。

海綿骨・骨梁
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 骨芽細胞から分化した骨細胞は、細胞突起を伸ばし、骨内の骨細胞と、骨表面の骨芽細胞や破骨細胞と互いにリンクし合う細胞性ネットワークを形成します*13。骨細胞は、このギャップ結合および骨細管を通して、酸素、栄養、シグナルを得ています。

骨細胞
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 骨端でも血管新生が起き、骨端と骨幹の間に成長板が形成されます。成長板に存在する軟骨細胞は、骨端の血管からIGF-1等のホルモンや、カルシウム等の栄養を得ています。

長板
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 最終的に、思春期の前半に少量のエストロゲンが間接的に骨の成長を促進し、思春期の後半は大量のエストロゲンが成長板に直接作用して骨を成熟させます。

骨形成に関わるビタミン

ビタミンC

  • ビタミンCは、コラーゲンを産生する際に、プロリンとリシンをヒドロキシル化する酵素補酵素となります。


ビタミンD


ビタミンE


ビタミンK


骨形成に関わるミネラル

カルシウム

  • カルシウムは骨芽細胞が分泌する基質小胞とⅠ型コラーゲンの中でリン酸とくっついてハイドロキシアパタイトととなり骨を硬くします。


亜鉛

  • DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、アルカリフォスターゼは亜鉛結合酵素です。亜鉛が不足すると、細胞増殖、タンパク質合成、骨の石灰化が抑制され、骨の成長が阻害されます。*16


*1:松尾光一監修『細胞工学 Vol.30 No.3 2011』学研メディカル秀潤社 2011 P230

*2:Henry M. Kronenberg『PTHrPとIhhによる負のフィードバックループ』Nature 2003

*3:阪医シケ対サーバ『[過去シケ対] [110909] 組織 骨 まとめ』2011

*4:河野博『初期石灰化』河野矯正歯科 2007

*5:硬組織の形成と石灰化機構日本歯科大学 2003

*6:エーザイ基質小胞における石灰化機構』2008

*7:福井有香『骨形成慶應義塾大学理工学メディアセンターリポジトリ

*8:塚本勝男『HAPの形成メカニズム東北大学大学院理学研究科

*9:網塚憲生『石灰化のメカニズム北海道大学大学院歯学研究科

*10:硬組織の形成と石灰化機構日本歯科大学 2003

*11:菅原明喜『骨発生のメカニズム』クインテッセンス出版 2013

*12:川口浩軟骨内骨化のしくみ東京大学医学部附属病院 2010

*13:飯村忠浩『骨細胞東京医科歯科大学 2012

*14:エーザイビタミンD3とビタミンD受容体(VDR)』2005

*15:日本ビタミン学会『ビタミンK』2008

*16:亜鉛厚生労働省 2009

骨芽細胞は軟骨膜内に最初に出現し、将来の皮質骨である骨殻を形成する


骨芽細胞は軟骨膜内に最初に出現する

 軟骨内骨化機構において、骨芽細胞は石灰化軟骨細胞に隣接した軟骨膜内に最初に出現する。前肥大・肥大軟骨細胞層に発現しているIhhは、軟骨膜に存在する骨・軟骨細胞に直接的に作用し、骨芽細胞分化の最も初期の分化を誘導すると考えられている。


出典
北條宏徳,大庭伸介,鄭雄一「軟骨内骨化におけるヘッジホッグシグナルの役割」
松尾光一監修『細胞工学 Vol.30 No.3 2011学研メディカル秀潤社 2011 P241

骨殻形成

 軟骨膜に存在する骨芽細胞前駆細胞は、肥大軟骨細胞の分泌する種々の成長因子の刺激を受けて、骨芽細胞に分化し将来の皮質骨である骨殻を形成する。


出典
大庭伸介,鄭雄一「多能性幹細胞を使った骨再生」
日本再生医療学会『骨格系 (再生医療叢書) 』朝倉書店 2012 P132

軟骨内骨化における骨芽細胞の働き


軟骨内骨化の過程

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E J Mackie,L Tatarczuch and M Mirams
The skeleton: a multi-functional complex organ. The growth plate chondrocyte and endochondral ossification

 骨芽細胞は石灰化軟骨細胞に隣接した軟骨膜内に最初に出現し、骨殻を形成する。骨殻は骨の形状維持に寄与している。

骨殻 - Wikipedia

海綿骨・骨梁の形成

 軟骨膜に存在する骨芽細胞前駆細胞および骨殻に存在する骨芽細胞は、石灰化軟骨基質に血管とともに侵入し、破骨細胞による石灰化軟骨基質分解と共役しながら骨基質を産生して一次海綿骨を形作り、後に骨梁と骨髄となる。


出典
北條宏徳,大庭伸介,鄭雄一「軟骨内骨化におけるヘッジホッグシグナルの役割」
松尾光一監修『細胞工学 Vol.30 No.3 2011学研メディカル秀潤社 2011 P240

オステオカルシン

オステオカルシン

 オステオカルシンはタンパク質です。骨Gla蛋白(bone-Gla-containing protein)とも呼びます。


オステオカルシンの産生

 骨芽細胞がオステオカルシンを産生します。骨芽細胞のDNAに活性型ビタミンD3が作用してオステオカルシン前駆体が生成され、それにビタミンKが作用してグルタミン酸のγ位炭素がカルボキシル化されGlaに置換されオステオカルシンが生成されます。


歯科用語ネット辞典: グラタンパク


オステオカルシンは糖代謝を促す

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 オステオカルシンはインスリンの分泌を促し、細胞のインスリン感受性を高めることで糖代謝を促します。

オステオカルシンのインスリン分泌にインクレチンが働くことを発見 NatureJapan

健常小児の0歳から17歳までの身長SDスコアの変化


田中敏章(たなか成長クリニック)


要旨


 秋田県の健常小児2731名(男子1366名、女子1365名)の出生時から17歳までの縦断的成長記録を解析して、こどもの身長の程度(身長SDスコア)がどのように変化するのかを検討した。0歳から3歳、3歳から6歳、6歳から17歳までの変化を検討したが、それぞれICP(Infant-Childhood-Puberty)モデルの乳幼児期、前思春期、思春期に相当すると考えられる。

 身長SDスコアが出生時から17歳時まで同じ程度で成長する小児は、全体の12.2%で、多くの小児は身長SDスコアが変化した。変化する時期は、0歳から3歳までの乳幼児期に相当する時期に一番大きく、30.6%の小児が0.5SD以上大きくなり、35.6%が0.5SD以上小さくなった。次いで思春期に相当する6歳から17歳の変化が大きく、23.9%の小児が0.5SD以上大きくなり、22.5%が0.5SD以上小さくなった。前思春期に相当する3歳から6歳までは、あまり変化が見られなかった。身長SDスコアがほとんど変化しない±0.5SD以内の小児の割合は、0歳から3歳、3歳から6歳、6歳から17歳までの時期で、それぞれ35.8%、70.5%、53.6%であった。

 身長SDスコアが変化する方向は、身長SDスコアが大きい子は低下する方向、小さな子は上昇する方向で、その変化の大きさも0歳から3歳までが、次いで、6歳から17歳までで、3歳から6歳までは一番少なかった。6歳から17歳までにおける変化は、思春期が早いほど身長SDスコアが低下する方向、遅いほど身長SDスコアが上昇する方向に変化した。

 17歳時身長SDスコアは、6歳時身長SDスコアと最も強い正の相関を示したが、3歳時身長SDスコアにもすでに強い相関を示しており、乳幼児期の成長が成人身長に重要であることを示唆している。



田中敏章『学術活動 17』たなか成長クリニック